1期生の振り返りを書こうと思いつつ早一週間。3人の1期生について書こうと思っているわけだが、たった3人しかいないので、特定されてしまう可能性が多分にある。個人的な内容を書くつもりがないのは当然のことだが、それでも気をつかうワケである。したがって、大いにぼやかしたり一部フェイクを入れてあることを断っておきたい。と、そんなことをボンヤリと考えていたら筆が重くなってしまった次第。


さて、1期生たち。全員が男子である。男子校さながら、粗野でガサツで大雑把で……と思い浮かべた方もおられるのではないか。実態は真逆で、線の細い子ばかりだった。授業中にリアクションが取れないのはもちろん、元気の良い挨拶もなかなかできなかった子たちである。口頭で答えを求めたときも蚊がすすり泣くような声で、聞き直したことも一度や二度ではない。正直に告白すると、春先は上手くコミュニケーションが取れていないことに頭を悩ませたこともあった。

コロナ禍以降、子どもたちは大きな声での会話が憚られるようになったのだろうか。それとも元々こういった気質の子たちなのだろうか。決して学力そのものは高くない子たち、どこかに自信を置き忘れてきてしまったのだろうか。そんなことを悶々と思い巡らせていた。

初めての北辰は暗澹たる結果だった。ある程度厳しい結果が出てくるだろうとは思っていたが、想像を上回る(下回る?)結果であった。「え?150点くらい上げないと志望校に届かなくない??」「こっちは100点か……」「てか、上がったとしても内申キツいからキツくない?(進次郎構文(ちょっと違う」「数学20点やんけ……どうすんねんこれ……」「モームリ(退職代行」などなど、ネガティブな思いに包まれたのを鮮明に記憶している。私立単願志望だった生徒が1人いて、その子だけは十分な内申と偏差値を確保できていた。唯一の安心材料だった。

部活も引退した夏期講習では、相当に頑張ってもらい、各科目テキストを3周した。それが奏功したか、9月北辰では偏差値が上がり一息ついた思いだった。(その時の記事はコチラ→北辰成績アップ(2024年9月)

秋から冬にかけても、1期生たちは本当によく頑張ってくれた。思うような結果が出なかったときもあるだろうが、決して投げ出さずに少しずつ学力を伸ばしてくれたように思う。

ところが冬期講習が終わったあとのテストで、思わしくない結果が出た。しかし、年が明けて受験が間近だというのに、緊張や疲れで思うような勉強ができていなかった。この頃、1期生たちにはかなり厳しくあたってしまった。私にも余裕がなかったのだ。

お互いに辛い1月を過ごし、私立入試の結果が出たことで安心したのか、ここで本当にエンジンがかかってくれた(遅い!)。まだ大きな声での挨拶はできないものの、気がつけば授業中にリアクションを取れるようになっていたし、聞き返すこともほとんどなかったように思う。 成長を感じつつ、安心できるような状況では決してなかったので、「魔法」をかけたことを覚えている(詳細は企業秘密)。1期生にだけわかるように書くと、理科のアレです。

2月、ひたすら演習期間を過ごした。ようやく自習に来るようにもなった。ペンを動かすスピードも随分と速くなった。わからないこと、不安なことを自分から聞けるようにもなった……。
受験当日に生徒を見送った際、ここまでの頑張りが駆け巡り目頭が熱くなったのは先日の記事の通りである。

合格発表当日、9:00すぎに2人から合格の知らせを受け、最良の結果で一年を締めくくることができた。入塾の際にある保護者の方から「熟考に熟考を重ね、貴塾にお世話になることにしました」と仰っていただいたことを思い出し、大切なお子さんをお預かりした責任を果たせたことに胸を撫で下ろした。

後日、2人から当日点の報告を受けた。2人とも、北辰では取ったことのない合計点数を取っていて驚いた。最初の北辰で足りなかった150点、100点を見事に上乗せしたのである。決して順風満帆な受験生活ではなかったように思うが、最後の最後まで本当によく頑張ってくれた。

さて、1期生の皆さん。今はゆっくり羽を伸ばしてください。少しだけ休んだら、またペンを取りましょう。授業中に何度も伝えましたが、1ヶ月もあれば人間は驚くほどバカになります。自己最高得点での合格という最高の結果で終わらせた受験生活は、君たちの成長の終わりでは無いはずです。賢くなるために、その場しのぎでない勉強を続けてください。
高校生活は楽しいものです。趣味に没頭したり、恋愛にうつつを抜かしたり、親に言えないことをしたり……一度限りの青春を謳歌してください。
私はずっとここにいます。高校生活で困ったことがあれば、いつでも相談に来てください。困ったことがなくても、いつでも遊びに来てくださいね。

1期生の保護者の皆さん。大切なお子さまの成長の一端を担えたこと、保護者の皆さまに信頼をお寄せいただいたこと、本当にありがとうございました。末筆ですが、ご家族皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。


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